
こんにちは、伊藤です。
2024年に発表された、スリー・フライング ブリッジ トゥールビヨン。
※2021年に発表された、スリー・フライング ブリッジ トゥールビヨンの改良モデルとなります。
ジラール・ぺルゴの職人たちが才能を駆使したモデルを、今回は徹底レビューしていきます。
満ち溢れる光


かつて「巨大工場都市」と呼ばれたラ・ショー・ド・フォン(写真は、本社兼工房と、建物の前にある道路です)は、18世紀以降は時計製造に特化され、今ではユネスコ世界遺産に登録されています。
道路の幅や、建物の作り(高さ)などが整っており、整理整頓された街という印象です。
1856年、ジラール・ぺルゴはこの街に最初のマニュファクチュールを構えました。
現在もなおこの地に本社を置き(ヴィラ・ジラール・ぺルゴの裏側に本社とオートオルロジュリーの工房がございます。)マニュファクチュールはRue Numa-Droz(ヌマ・ドロー通り)にあります。
18世紀の大火の後、ラ・ショー・ド・フォンは地元のエンジニアであったCharles-Henri Junod(シャルル=アンリ・ジュノ)の力を借りて再建しました。
時計製造のために設計された広い通りは、丘の中腹を背に基盤のも目状に走り、背の高い建物には、精巧な時計製造に欠かせない作業台を照らす光を存分に取り込む大きな窓が設けられています。
独自の個性で時計愛好家に深く愛されているジラール・ぺルゴの時計には、この街周辺の特徴そのものが反映されています。
斬新であるが、なじみ深い


1860年代、コンスタン・ジラールは3つのブリッジを備えた新しい懐中時計のスケッチを開始しました。
それまでのブリッジの役割をムーブメントの単なる構造上の部品から美しさを兼ね備えた部品へと進化させました。
1867年、ニッケルシルバー製の3つのブリッジを並行に配置してトゥールビヨンを組み込んだ懐中時計を発表し、時計製造の分野に独特の形状と奥行を取り入れた新しいデザイン哲学を提唱しました。

写真は、昨年の5月にスイスの研修に参加させていただいた際にヴィラ・ジラール・ぺルゴの中にあるミュージアムでみせていただいた1867年の懐中時計です。
1889年、時計製造を象徴する最古の機構のひとつとして広く知られるスリー・ゴールドブリッジ トゥールビヨンの発売時には、このブリッジjの仕様をさらに進化させて貴金属を採用しました。

写真は、ミュージアムに展示されていた「ラ・エスメラルダ」です。
2021年、ジラール・ぺルゴは、自然光の効果を巧みに利用したオート オルロジュリーの傑作であり、アヴァンギャルドな”スリー・フライング ブリッジ トゥールビヨン”を発売しました。(本日ご紹介のモデルの、前モデル)
自社の工房で製造し、1889年の有名な懐中時計からインスパイアされたモダンなモデルは、独創的な構造のムーブメントを備えています。
機能を超えて


従来の地板を排し、ブリッジで輪列、香箱、トゥールビヨンを支えるだけでなく、ムーブメントの残りの部分の構造的完全性を確保しました。
まるで空中に浮かんでいるかのようで、ケースの内壁から突き出た美しい透かし彫りの台座によって固定されています。
通常の文字盤がないため、インデックスはケースに取り付けられ、全体の開放的なデザインを損なうことなく機能を果たしています。
”絶え間ない改善”という哲学に基づき、ジラール・ぺルゴは、いくつか改良を施しました。
2024年に発表された、こちらのモデルに加えられた改良点の一つは、インデックスに関するものです。



表と裏にはめこまれたサファイアクリスタルはこれまでと同じ”ボックス”スタイルですが、やや丸みを帯び、横から見て左右対称性が増しています。
大型のリューズにも丸みを持たせることで操作性が向上し、全体的に滑らかで統一感のある洗練されたデザインのスリー・フライング・トゥールビヨンとなっています。

ラグを短くし、ケースの中央部分にさらに丸みをつけることで着用時の快適性も強化されています。
また、小さな改良として、時針と分針がサテン仕上げになり、スーパールミノバを塗布したことで、暗がりでの視認性も向上しています。
決して変わらないもの

細かい変更点はあるものの、変わらない点もあります。
表に配されたスリー・ゴールド ブリッジはブラックのまま。

※写真のモデルは2021年に初めて発売された、スリー・フライング ブリッジ トゥールビヨンです。
繊細なデザイン手法で知られるジラール・ぺルゴが提示したのは、モダンなゴールド製のブリッジのトリオです。

ピンクゴールド製ブリッジの上面と下面にブラックPVD加工を施しつつ、面取りしたエッジにはブラックを避けてピンクゴールドの輝きがさりげなく除くように仕上げられています。
申し分ない仕上がりと気品を感じさせるその輝きは、小さなツゲの気を用いて時間をかけて磨き上げる手仕事の賜物で、1組のスリー・ゴールド ブリッジを仕上げるのに合計2日間を要します。
モデル詳細
ブランド:ジラール・ぺルゴ
モデル名:スリー・フライング ブリッジ トゥールビヨン
品番:99296-52-3434-5CC
素材:ピンクゴールド
直径:44mm
厚さ:15.35mm
風防:サファイアクリスタル「ボックス」
ケースバック:サファイアクリスタル
ダイヤル:ダイヤルなし
防水性:30m
価格:24,101,000円(税込)
国内初となるジラール・ぺルゴ ブティック 大阪は2025年4月24日(木)グランドオープンです。
皆様にお会いできますことを楽しみにしております。