皆様こんにちは、菊池です。
ここ数年、秋はどこに行った?と思う程、一気に寒い日が到来しましたね。
インフルエンザも流行していますので、みなさま体調管理には充分お気を付けください。
さて、皆様が日々身につけている機械式腕時計。“分解掃除”や“オーバーホール”という言葉を聞いたことはあっても、「一体なにをするの?」「なぜ必要なの?」と思われる方も多いのではないでしょうか。
今回は、時計の中で実際に行われている“分解掃除”の作業を、専門的な言葉を使わずなるべくわかりやすくご紹介します。

また、ロレアートは42mm、38mm、クロノグラフ(ずれもステンレススティール素材)モデルの試着専用の時計をご用意しております。
下記のブログにてご紹介しております、こちらもあわせてご覧くださいませ。
オーバーホール(分解掃除)とは?

オーバーホール(分解掃除)とは、読んで字のごとく“時計の中の部品をすべて分解し、古い油やホコリをきれいに取り除き、もう一度丁寧に組み立て直す作業”のことを言います。
機械式時計の内部には100個以上(上記写真のキャリバーGP4800で部品数は163個)の歯車などの細かなパーツがあり、それぞれが正確に動くことで時間を刻んでいます。長くお使いいただくうちに油が劣化したり、摩耗したりして、動きが重くなっていきます(身近なもので例えると自転車のチェーンが重くなるイメージです)。
オーバーホール(分解掃除)の工程

【分解】
技術者がケースを開け、ムーブメント(時計の中の機械)を取り出します。ひとつひとつのネジを外し、歯車などの各パーツを分解していきます。まるでパズルを逆に解いていくような細かい作業です。
【洗浄】
分解した部品を専用の洗浄機で洗い、古い油や金属粉など汚れを完全に落とします。小さなゴミ一つでも精度に影響するため、徹底的に洗います。
【注油・組み立て】
洗浄後の部品をひとつずつ確認しながら専用の潤滑油を適量さし、元通りに組み立てていきます。
油の量が多すぎても少なすぎても精度が落ちたり止まる原因になりますので、経験と技術がものを言う工程です。
私自身、ブティックがオープンする前に組み立て体験をさせていただきましたが、目視ではわからない“ズレ”が生じていただけで、時計は全く動きませんでした…。
【精度調整と点検】
最後に、時計を動かしながら進みや遅れを測定し、姿勢差(置き方による誤差)などを微調整します。
数日間のテストを行い、精度が安定したことを確認して完了です。
オーバーホール(分解掃除)は何故必要?
時計の中の油は、数年で少しずつ乾いていきます。そのまま使い続けると、金属同士が直接こすれ合って摩耗し、歯車や軸が傷んでしまいます。その結果、正確な時間を刻まなくなり、最終的には時計は止まってしまいます。分解掃除は、その“疲れた時計”をリフレッシュさせ、購入時の状態にできるだけ近づける作業になります。
定期的な分解掃除を行うことで、時計は本来の精度と美しさを保ち、長くお使いいただけます。ちょうど車のオイル交換や、楽器のメンテナンスに近い考え方かもしれません。
オーバーホール(分解掃除)は外装も含まれます
オーバーホール(分解掃除)では、ケースや防水性のメンテナンスも込みです。機械は部品を交換すれば良くなるのは当然ですが、ケースはなかなか交換できません。ステンレスは空気の触れる表面に“酸化被膜”が出来て保護しますが、空気に触れにくい箇所は酸化被膜ができずに錆を誘発します。
特に日本は湿気が多く、他国よりも錆には弱い気候かもしれません。錆は「汗や汚れ」を放置することにより発生するので注意が必要です。
また、防水用のパッキンは経年劣化します(水道のパッキンも年月が経つと水漏れするのと同じです)。
パッキンが劣化すると湿気や汗の侵入に繋がり、ひどい場合は内部のムーブメントや文字盤に錆などが発生する恐れがあります。その為、防水性能を維持する為にはパッキンの交換が必要となります。
※当ブティックでご購入いただいたお客様には、ブレスレット・ケースの洗浄をいつでも無料でさせていただいております。
どのぐらいの頻度で必要?
一般的には3〜5年に一度が目安とされています。ただし、使う環境や保管状況によっても変わります。「最近、進みや遅れが気になる」「リューズの巻き心地が重い」そんなサインを感じたら、そろそろ点検のタイミングです。
ジラール・ペルゴのオーバーホール(分解掃除)料金は?
| 修理区分 | 基本料金 |
| 電池交換 | \16,500.- |
| クオーツ時計 オーバーホール | \57,200.- |
| 機械式 オーバーホール(時・分針+日付) | \89,100.- |
| 機械式 オーバーホール(クロノグラフ・ベーシックコンプリケーション) | \127,600.- |
| パーペチュアルカレンダー・スプリットセコンド他 | スイス見積り |
| オートオルロジュリー 複雑時計 | スイス見積り |
| ビンテージ(アンティーク) | スイス見積り |
2025年11月現在(税込価格)
※ベーシックコンプリケーションとは自動巻きに付加機能が付いたモデルになります。
※オーバーホール料金に、内外装部品などの料金は含まれていません。
まとめ

分解掃除は、出来るだけ購入時の新品の状態に甦らせる大切なケアです。見えないところまで丁寧に手をかけることで、時計は何十年、あるいは次の世代まで動き続けます。お気に入りの一本を長く愛用するために、ぜひ定期的なメンテナンスを意識してみてください。
機械式時計は、遅れたり止まっても壊れた(使えなくなる)わけではありません。少し休んでいるだけです。
“オーバーホール(分解掃除)”というメンテナンスで、また元気に動き出してくれます。
当ブティックでは簡易ではありますが、お時計の精度をチェックする機械を常備しております。お使いのジラール・ペルゴ ウォッチの調子が気になる方は、お気軽にお問い合わせくださいませ。
投稿者:菊池
