
こんばんは、伊藤です。
4月24日に、無事グランドオープンをすることができ沢山のお客様にご来店いただいております。
お忙しいところ、時間を作ってお立ち寄りいただいていること何より嬉しいです!
ジラール・ぺルゴ ブティック 大阪は、国内で初のジラール・ぺルゴ専門のブティックになります。
ブティックのみの特別なサービスなど・・・これから少しずつご紹介させていただきます。
さて、本日はブティックオープンに合わせて、特別に入荷したラ・エスメラルダ トゥールビヨン “シークレット”エタニティ エディションの実機写真と合わせてレビューさせていただきます。
ラ・エスメラルダの歴史 1

1889年のパリ万国博覧会において金賞を受賞した”ラ・エスメラルダ”
有名な受賞歴を誇るこの懐中時計は、伝説的で並外れた精度と数々の芸術的技巧が融合したものでした。
19世紀には、当時の最先端の技術を展示する「万国博覧会」が開催されました。
様々な国が参加し、もっとも優れた展示品には賞やメダル、栄誉が授与されました。
その後、他の国々も万国博覧会を開催しましたが、パリは特に人気の高い開催地であり、1855年、1867年、1878年、そして1889年に「万国博覧会」が開催されました。

1860年、生涯の大半をクロノメーターの分野に捧げた天才時計師、コンスタン・ジラールは、3つのニッケルシルバーのブリッジを備えたトゥールビヨン・クロノメーターを製作しました。
その後、1867年にヌーシャテル天文台のコンクールに出場し、彼の時計は優勝を果たしました。
さらに、1867年には、同じ時計がパリ万国博覧会でもメダルを受賞しました。
コンスタンの作品が、他の時計と一線を画したのは、技術的な細部へのこだわりだけでなく、ムーブメントの構造にも多大な労力を費やした点です。
特に、彼の時計に採用された有名な3つのブリッジは、機能性だけでなく、視認性と美しさも考慮して設計されました。
時を経るにつれて、矢形型のブリッジのデザインは様式化され、様々な要素が取り入れられるようになりました。
さらに、3つのブリッジは初期の懐中時計に見られたニッケルシルバーから、現在では有名なゴールドブリッジへと進化を遂げ、伝説が誕生しました。
ラ・エスメラルダの歴史 2

1889年、万国博覧会に出品した懐中時計は、「スリー・ゴールド・ブリッジ・トゥールビヨン」と名付けられ、直径56mmの豪華なピンクゴールドケースに収められました。
ケースには、ヌーシャテル山脈を拠点とする名高い職人”Fritz Kundert”によって精巧な彫金が施されました。
博覧会後、パリとメキシコで「ラ・エスメラルダ」と店を運営する有名な時計・宝飾品小売業者”Hauser Ziwy&Co”が、この受賞時計の販売を委託されました。
最終的に、ラ・エスメラルダと名付けられたこの時計は、当時のメキシコ大統領ポルフィリオ・ディアス(1860-1915)に売却されました。
1970年、大統領の子孫がジラール・ぺルゴにこの時計の購入を申し出たことで、現在ではジラール・ぺルゴの博物館コレクションに収蔵されています。
彫金される”馬”の秘密


実機を撮影していた際に感じたことは、仕上げの美しさです。
うっとりする美しい仕上げは、言葉が出ないほどゆっくり、じっくりと眺めたくなる幸せな時間でした。
2021年、ジラール・ぺルゴは創業230周年を迎え、伝統ある時計製造のノウハウを駆使し、数々の芸術的工芸を極めた腕時計ラ・エスメラルダ トゥールビヨン “シークレット”エタニティエディションを発表しました。
今回ご紹介のモデルは2023年に発表されたモデルになります。
限定18本のこちらのモデルは、受注を受けてから生産されるモデルとなります。
1889年に発表された伝説的な懐中時計「ラ・エスメラルダ」のデザインを再解釈し、その卓越した洗練を数多く踏襲しています。


オリジナルの懐中時計の裏蓋にエングレービングされた馬を、こちらの時計にも中心に捉えることで、再び目に見えないものを可視化しました。
手作業でエングレービングされた2頭の疾走する馬が、香箱ブリッジとトゥールビヨンブリッジの左右の端を形作っています。
また、裏蓋には3頭の馬が美しく彫金されているのは、オリジナルモデルからのデザインです。
ジラール・ぺルゴは莫大な歴史の資料を保有しております(社内には、ジラール・ぺルゴに長年勤められている、”歴史家”と呼ばれるかたも在籍されています。)が、これらの馬の意味に関する記録は見つけられないそうです。
ハンターケースの中の秘密


リュウズの横のボタンを押すと、パカっと裏蓋が開き現れるのが美しいムーブメント。


なぜこんなに美しいのか?
考えてしまうほどのムーブメントの美しい仕上げの秘密は、凹面の面取りを採用していることです。
表面と側面の間に湾曲した窪みを作ることで、光を捉え、蓋を開け光を浴びた瞬間からオーラが漂います。
もう一度表側を見てみます


文字盤の上部には、香箱があります。
香箱の刻印は、オリジナルモデルの香箱に刻まれた特許取得済を宣言する文字を彷彿させます。
香箱の下にはホワイトゴールド製のマイクロローターが配置されるのもこのムーブメントの特徴の一つ。
裏蓋のムーブメントを見ると、手巻きなの?と思われますが・・・実はマイクロローターが香箱の下に隠されています。ローターに邪魔されることなく、ムーブメントを鑑賞いただけるのも嬉しいところです。
ドンツェ・カドランで作製されるエナメル


エナメルの永遠の美しさへのオマージュとしてエナメル加工を施したエナメルシリーズ「エタニティ エディション」の一部として発表されたこちらのモデルは、文字盤、ケースサイド、裏蓋とエナメル加工が施されています。

裏蓋には、エナメル師と彫金師によって作られる「シャンルベ」技法をみることができます。
クロワゾネ(ゴールド製のワイヤーとエナメルを駆使して作られる技法)技法の後に誕生したのが、シャンルベになります。
この裏蓋を作るには、
①ギョーシェ彫りを施す
②馬の輪郭の形をしたスタンピングする工具でたたき馬の形をだす
※この際に使われる馬のデザインは、手彫りで彫ったものを使用
③エナメル(釉薬)をのせて焼いていく
④彫金師が金の部分(写真だと馬の部分)をもう一度掘り起こす
クロワゾネ技法に比べると、シャンルベは躍動感があり写真からもみれますが、馬が優雅に疾走しているように見えます。
モデル詳細
ブランド:ジラール・ぺルゴ
モデル名:ラ・エスメラルダ トゥールビヨン “シークレット” エタニティ エディション
品番:99274-53-3198-5CC
素材:ホワイトゴールド
直径:43mm
厚さ:15.1mm
ケースバック:エナメル仕上げのシークレットカバー
防水性:30m
価格:67,848,000円(税込)
実機は、国内初となるジラール・ぺルゴ ブティック 大阪にてご覧いただけます。
本日も皆様のご来店を心よりお待ちいたしております。